画面共有をしている最中に、自分の声だけが遅れて届くことがあった。
在宅の会議で、資料を映しながら話す。相手の相槌のタイミングが、微妙にずれる。おかしいと思いながらも、大抵は「回線が悪かったみたいで」と謝って済ませていた。原因を突き止めようとは、あまりしてこなかった。
家のルーターは、たしか引っ越したときに買ったものだった。何年前だったか、正確には思い出せない。壊れていないのだから、そのままでいい。そう思っていた。
WSR-5400XE6/N を選んだのは、6GHzという帯域があると知ったからだった。今まで使っていた帯域とは別に、新しい道が一本増えるらしい。半信半疑のまま、設定を終えた。
次の会議で、資料を映しながら話した。相手の相槌が、思ったタイミングで返ってきた。画面が固まることもなかった。原因は回線ではなく、ずっと同じ道を、家じゅうの機器と一緒に走っていたことだったのかもしれない。
あとで調べると、新しく増えたゲーム機や最新のスマートフォンとの組み合わせで、あらかじめ動作を確認してから発売されているらしい。見えないところで、そういう地味な確認が積み重ねられているのだと知った。
家族のスマホも、隣の部屋のゲーム機も、同じ時間に動いている。以前なら、何かしら影響し合っていたはずだ。今は、それぞれが別の道を走っているような感覚がある。
謝らなくてよくなった、というだけのことだ。それだけのことが、思っていたより、気持ちを軽くした。
