パソコンを開くたびに、何をするつもりだったか忘れることがあった。
起動を待つ間にメールを確認し、通知が来て、気づけば別の作業を始めている。本当にやりたかったことに戻るまで、十分近くかかることもあった。書類を作るだけのはずが、いつのまにか別の画面を開いている。そういうことが、増えていた。
そろそろ、書くためだけの何かが欲しいと思っていた。ただ、そのために新しいパソコンを買うのは、大げさな気がしていた。
Lenovo Chromebook 300e Yoga を選んだのは、値段の手頃さからだった。期待は、あまりしていなかった。
電源を入れて、驚いた。ほとんど待たされない。開いてすぐ、画面が立ち上がっている。余計なアプリを探す手間もない。できることが少ないぶん、選ぶことも少なかった。
軽さも、思っていた以上だった。1.33kg。片手で持ち運べる重さで、外に持ち出すのをためらわなくなった。カフェのテーブルの上でも、開くとすぐに文字を打ち始められる。
画面は、くるりと裏側まで折れる。書き終えて、たたむのではなく、そのまま倒して読む形に変える。キーボードを使わない時間には、ただの板になる。ひとつの道具が形を変えるだけで、椅子の座り方まで少し変わった。
保存できる容量は少ないと聞いていた。だが、使ってみると、そもそも保存するものがほとんどない。書いたものは、開いた瞬間にどこかへ流れていく。手元に何も溜めない軽さが、かえって落ち着く。
できることを増やさなくても、やりたいことはできる。そう気づくまで、ずいぶん遠回りをした。
