プリンターを、一度手放したことがある。
印刷することが減ったし、久しぶりに使おうとするとインクが乾いていた。交換しようとすると、色が一色足りない。替えを買いに行って、戻ってきて試すと、今度は別の色が薄い。そのたびに時間が取られた。印刷したいのに、印刷することより前に、することが多すぎた。
「必要なときはコンビニで」と決めた。それで、しばらくは困らなかった。
でも、急いでいるときに限って、コンビニまでの道が遠く感じた。書類一枚のためにICカードをチャージして、機械の前で操作する手間がある。子どもの宿題の印刷を、翌朝に回してしまったこともあった。
エコタンクという仕組みを知ったのは、そのころだった。カートリッジを交換するのではなく、ボトルのインクをタンクに補充する方式で、一度入れると相当長く使えるらしい。インク代も安くなるという。
EW-M638Tを置いてみると、インクのことを考える機会が減った。残量が気になれば確認できるが、特別なことが起きない。印刷したいときに、印刷できる。それだけのことが、思った以上に違った。
手放す前に、この仕組みがあれば、別の選択をしていたかもしれない。そう思うくらいには、使い続けている。

