壁が、白い。
それだけのことが、ずいぶん長い間、気になっていた。何かを飾ろうと思いながら、何年も経った。気に入った絵をプリントして、百円均一で買ったフレームに入れてみたこともある。最初の一週間は、よかった。だが、ある朝、目が覚めて、その絵がそこにあることに、もう気づかなくなっていた。
絵は変わらない。だから、人間の方が先に変わってしまう。
スマートフォンの画面で気に入った絵を見つけても、それは画面の中にある。見るためには手に取らなければならない。部屋に帰ってきたとき、ふと目に入るものではない。光が強すぎて、長く眺めていると目が疲れる。そういうものだと、思っていた。
SMARTWIZ+ art のことを知ったのは、偶然だった。電子ペーパーを使ったカラーのデジタルフレームで、一度表示してしまえば電力はいらない。Wi-Fiで絵を変えられる。壁にも、机の上にも置ける。
正直、最初は信じていなかった。カラーの電子ペーパーというものが、どれほどのものか。画面らしさが残るのではないか。届いて、壁に取り付けるまで、少し手間取った。そういうものだ。何ごとも、最初からすんなりはいかない。
だが、絵が映し出された瞬間、画面だと思わなかった。光らない。ただ、そこにある。紙に印刷されたものに近い、静かな存在感だった。
数日経つと、気づいたことがある。朝、カーテンを開けながら、壁を見ている。帰ってきて鍵を置きながら、壁を見ている。前は、そんなことはなかった。
絵は、ときどき変わっている。いつ変わったか、気づかないこともある。それでいい、と思った。飾るということは、そういうことかもしれない。眺めるためではなく、そこにあるために。

