一人分の食事だと、手間のかかる調理は面倒に思えてしまう。大根おろしも、そのひとつだった。
すり鉢を出して、洗って、しまう。その一連の作業が億劫で、いつの間にか大根おろしを添える料理を避けるようになっていた。
きっかけは、片付けの手間を減らしたいという、それだけの理由だった。コードレスで、ガラスのカップごと洗える調理器具があると知って、試しに使ってみることにした。
刃を差し込んで、蓋を閉めて、ボタンを押す。数秒で、大根はもうおろし終わっていた。洗うものも、カップと刃だけだった。
充電式だと知って、最初は不安だった。使っている途中で止まってしまわないか、と。調べてみると、10分の充電で1分ほど動くつくりになっているらしい。数字だけ見ると心もとないが、刻む・混ぜる・砕くといった作業は、案外すぐに終わる。長く回し続ける道具ではなく、短く済ませるための道具なのだと気づいた。
氷も砕けると聞いて、半信半疑で試した。ガラスの中で氷が細かくなっていくのを見ながら、この一台でスムージーも、離乳食のような柔らかいものも作れるのだと知った。使う人や食べる人を選ばない道具、というのはこういうことかと思った。
大根おろしを避けていた頃の自分を、少し笑いたくなる。面倒だったのは大根おろしではなく、片付けの方だったらしい。
