配信を始めようと思ったとき、まず何を買えばいいのか、見当がつかなかった。
音は、映像より先に相手に届く。声が割れていたり、部屋の反響が入っていたりすると、それだけで話を聞いてもらえなくなる。パソコンに内蔵されたマイクでも一応録れる。でも、聞き返すたびに、自分の声が遠くから聞こえてくるのが気になっていた。
配信用マイクを検索すると、値段も種類も幅があって、どれを選べばいいのかわからなかった。ラジオ局のスタジオで見るような、太くて黒いマイクがずっと気になっていた。調べると、その形のマイクを長年作り続けてきたメーカーがあるらしく、放送や音楽の現場で何十年も使われてきたのだと知った。同じ流れを汲むモデルが、家庭用としても売られていた。
届いた箱は、想像より重かった。USB-Cで繋ぐと、設定らしい設定もなく、そのまま声を拾い始めた。試しに録音して聞き直すと、いつも自分が思っている声より、少し低く、はっきりと聞こえた。エアコンの音や、隣の部屋のテレビの音は、ほとんど入っていなかった。
XLR端子もついていて、将来オーディオインターフェースを足せば、もう一段階、音を追い込めるらしい。今はまだそこまで手を伸ばしていない。それでも、いつか繋ぎ変えられるという余地があることが、なんとなく安心だった。
声は、思っていたより、ちゃんと届いていた。
