オンライン会議で、聞き返されることが多かった。
こちらの声が小さいのか、マイクが拾っていないのか、よく分からなかった。一度聞き返されると、次の発言のたびに少し気になる。「聞こえますか」と確認してから話す癖がついていた。
パソコンの内蔵マイクでも、イヤホンのマイクでも、あまり変わらなかった。だから、問題はこちらの声の出し方にあるのかもしれない、と思っていた。
ヘッドセットを使い始めたのは、そういう理由だった。特別なものが欲しかったわけではなく、口元にマイクが来るなら、拾い方が違うかもしれないと思った。
つけてみると、予想より軽かった。長い会議でも、耳が痛くなりにくい。マイクを口元に近づけることで、周囲の音を拾いにくくなるらしく、自分の声だけを届けやすくなるということだった。
翌日の会議では、「聞こえますか」と確認しなかった。確認する必要がなかった。相手が普通に返事をした。それだけのことなのだが、会議の中での気の使い方が少し変わった。
声が届いているという安心感は、思った以上に、話すことを楽にする。
