棚の端に、黒い背表紙が12冊並んでいる。
それを見るたびに、なぜか少し落ち着く。使いかけが3冊あって、残りはまだ封も切っていない。必要になったとき、手が届く場所にある。ただ、それだけのことなのだが。
以前は、ノートが残り1冊になると、妙に気になった。書きたいことがあっても、ページを無駄にしたくないと思ってしまう。残りを気にしながら書くのは、どこか窮屈だ。
まとめて買うようになったのは、そういう理由だった。
12冊が手元にある状態になると、その感覚がなくなった。ページをうまく使おうとか、きれいに埋めなければとか、そういうことを考えなくなった。走り書きが増えた。思いついたことをそのまま書くようになった。
A5というサイズは、机の上でも膝の上でも収まりがいい。かばんにも入る。ハードカバーだから、立ったまま書いても台を選ばない。7ミリ横罫は、少し広めで字が大きくなる。読み返したとき、見やすい。
黒一色というのも、考えてみれば合理的だ。何冊並べても違和感がない。どれが古いどれが新しいか、背表紙を見ても分からないが、それでいい。中を開けば分かる。
書くための道具は、シンプルなほうが長く続く。
替えの心配がなくなると、書くことに集中できる。そういう些細なことが、積み重なると大きい。

